パートナーが病気かもしれないとき、男性にできることはなんでしょう? 子宮頸がん検診の話

金曜日の夜21時、銀行での仕事をやっと終えることができた。


明日からは休みだ。


「これから帰るよ」


と妻の幸子にメールをすると


「待ってまーす」


返信がすぐに来た。


続けて、


「少し真面目な話があるので時間頂戴ね」


と、書いてあった。


 


「分かった、すぐに帰る」


「気をつけてね(^^)」


 


何なのだろうか。


顔文字は明るいのだけれど少し嫌な予感がする。


 


外に出たら雨が降りはじめてきた。


傘を持っていないので、駆け足で幸子の待つ家に向かう。


 


早く帰りたい、と思っても、いつも乗っている丸ノ内線の速度は変わらない。


むしろ混んでいて遅れている。


満員電車の人ゴミに揉まれながら、何か問題が起きたのだろうかと考える。


結婚二年目だし、子供ができたのかな、と楽観視をしたかったが今でも避妊はしているからその可能性は低いだろう。


もしそうだったら、


 


「妊娠したよ\(^o^)/」


 


隠し事のできない幸子の性格上、これくらい明るいメールはずだ。


 


だから、良いニュースでない可能性が高い。


 


早く自宅に帰りたい。


いつもよりも帰路が長く感じられた。


 


 


 


やっと、自宅について玄関を開ける。


「ただいまー」


「おかえりなさい。ご飯できてるよー」


おかえりなさいのハグをして、リビングへ向かう。


「真面目な話って何?」


とても気になっていたので、晩御飯も気にせず質問する。


 


「まあ、その前にこちらへ、聡さん」


ソファーに座るよう促される。


幸子も隣に座る、そして腕を絡めてくる。


「えっと、少し前に産婦人科に行って検査をしてたの。そして、今日はその検査をしてもらった結果を聞いてきたのだけど」


少し間を溜めている、言い辛いのだろうか。


 


「HPV陽性だって」


「何そのHPVって?」


最低限、子供関連ではないことは分かったがそれ以上のことは分からない。


 


「分かり易く言うと、子宮頸がんの疑いがちょっとあるかもってところかな」


「子宮頸がん!!」


 


がん、という単語だけでもとても驚いてしまう。


 


それは治るのか?


 


入院が必要なのか?


 


そして、


 


幸子が死ぬようなことがあるのか?


 


 


良くないことが次々と脳裏をよぎる。


 


「えっと、最初から話すね」


幸子は深く深呼吸をしてから話し始めた。


「この前30歳になったのはもちろん分かるよね? 30歳になったから推奨されていた子宮頸がんの健診にはじめて行ってきたの。その結果を今日聞いてきたのね。それで、HPVの結果と細胞を見た結果から総合的に判断して、今度細かい検査をしましょうと勧められたの。がんの確定とかでは全くないけれど、可能性が0ではないから、慌てず確実に検査をしましょうって、お医者様が言ってた」


「そっか。まだ確定というわけではないんだね」


動揺したまま、無事を確認するように問いかける。


「うん、私も最初聞いた時、私死ぬのかな? まだ30歳で死にたくないよ! なんて思ったし。でも、すぐに悪化するようなものではないみたい。そもそも本当に危ないかはまだ分からないし。そんなに心配しなくていいですよ、自然治癒もよくあることです、ってお医者様も言ってた。だからひとまず落ち着いたの」


動揺が少しだけ収まった。


「分かった。次の検査結果、何事もないといいなぁ」


「うん!」


嬉しそうな顔をしながら元気に返事をする。


 


「検査結果でちょっと落ち込んでいる奥さんを慰めて。というわけで膝枕膝枕」


「どうぞ」


膝をポンポンたたきながら誘導する。


「よいしょっと。はぁー、幸せだねぇ」


僕の膝の上に頭を載せながら、幸せそうな声を出す幸子。


「猫さんが膝の上で丸くなるのが分かる気がするよ、ニャア」


猫好きの僕にとって、別の動揺が走る。


 


結構ときめいた。


 


この非常時に何を考えているんだと思うものの、きっといつもどおりの日常を過ごす方がいいのだろうなと思った。


 


幸子の髪を撫で続ける。


「優しい旦那がいて私は幸せ者ですよ」


「僕も、こんなにねこっぽ・・・、じゃなくて可愛い奥さんがいて幸せですよ」


「猫っぽいって何よ、私と猫とどっちが大事なのよ」


「猫」


「シャー!」


そういいながら、服ひっかいてくる。


でも、顔はとても嬉しそうだった。


いつもどおりのじゃれ合いだ。


 


 


これだけ元気なのだから、きっと大事には至らないだろう。


そう思えた。


 


いや、そう思いたかった。


 


 


 


翌日の土曜日、今日は徹底的に敵を知ることにした。


HPVとかいうものを調べてやろうと思った。


 


幸子は友人と遊びに行く予定があり、朝早くから外に出ていた。


息抜きにはちょうどいいだろう。


 


午前中は図書館で本をあさり、徹底して本を読んだ。


何冊か本を借りた。


午後は自宅でネット検索。


産婦人科の先生がネットで情報を公開しているページもあった。


これなら正確性も高いだろう。


かなり情報が出てきたのでとても助かった。


 


 


気がついたら、日が暮れていた。


「1日中調べていたか、もう夜だ」


よほど集中していたらしい。


 


1日調べたら、敵の正体は大体分かった。


要点をまとめると次のとおりだ。


 


・HPV、名前はヒトパピローマウイルスといい、100種類(遺伝子型)以上のHPVが存在するが、そのうちのいくつかの種類が子宮頸がんを引き起こす可能性がある。


・子宮頚部は膣の奥にある部位のこと


・感染すること自体は女性にとって普通なことである


・感染したからと言ってそのままがんになるわけではない、その人の持つ免疫力のおかげで多くの場合は自然消滅する


・問題なのは感染することではなく、感染していることをずっと放っておくこと。すぐに悪化するわけではないが、5~10年など長期的に放っておいた場合、子宮頚がんとなることがある


 


その他にも、診断の方法や治療の方法、死亡率なども分かった。


幸子の場合は、まだ細かい検査をしていないから何とも言えない。


自然消滅する可能性が8~9割と高かったため、深刻に考え過ぎなくてもいいのだろう。


だが、次の検査結果次第では覚悟を決めないといけないかもしれない。


 


子宮頸がんは、女性特有の病気だから自分はならないだろうと思っていたが、予想に反して次のようなことも分かった。


 


・男性もHPVに感染する。男性の場合はあまり重い病気にはならない


・性交渉の結果、HPVが男女間でうつるが、コンドームをつけているとうつりにくくなる(完全に防げるわけではない)


 


 


僕がうつした可能性もありうる??


知らないということは恐ろしい。


後で病院に行っておこう。


 


 


そんなことを思っているうちに、


「ただいまー」


と、幸子の声が玄関から聞こえてきた。


「おかえりなさい」


玄関に行き、幸子におかえりなさいのハグをする。


 


 


「ねぇねぇ、今日ね、神保町のカフェに行ったの。そうしたらコーヒーなのに、後味がベリーの味がしてとてもフルーティだったの。今度一緒に行こうよ!!」


よほど楽しかったのか、興奮気味だ。


「それは美味しそうだね、今度一緒に行こうね」


「うん」


幸子は上機嫌だった。


幸子のお友達、楽しい一日を過ごしてくれてありがとう。


 


 


 


2週間後の土曜日、幸子が朝から精密検査に行った。


着いて行こうか、と言ったが、流石に自宅で待っててと言われた。


「私が帰った時に、すぐにおかえりなさいって言ってね」


だそうだ。


やっぱり不安なんだろうな。


 


以前調べた内容から、今日はコルポスコピーとかいう検査だろう。


女性の膣の中を観察する検査のようだった。


そして、子宮頚部の細胞をとるようなので、多少痛みが伴う検査になるようだ。


 


 


僕にできることは無事である祈ること。


少し時間もあるから、掃除と洗濯をしておくか。


共働きとは言え、定時で上がれる幸子といつも21時くらいまで働いている僕とでは、幸子の方が家事の負担割合が多い。


だから、時間のあるうちは、幸子の負担を減らしたい。


後は、幸子の好きなモンブランを買っておこう。


検査が精神的にも辛そうな検査のように思えたからだ。


病気を変わることはできないから、精神的に幸子を支えたい。


 


 


午後になってから、


「ただいまー」


いつもよりも元気のない声が玄関に聞こえた。


「おかえりなさい」


全力で玄関に向かう。


 


幸子におかえりなさいのキスをする。


ハグじゃなくって少し驚いたようだけど、幸子は嬉しそうな顔をしている。


 


「検査疲れたよ、痛かったよ」


全力で抱きついてくる。


「お疲れ様でした」


髪を撫でて、今日の検査が終わったことをねぎらった。


「結果は2週間後だって」


「そうなんだ」


自分からは聞けないと思っていたけど、幸子の方から話してくれた。


「少し怖いかも」


「大丈夫だよ、きっと。自然治癒することも多いみたいだし」


「ありがとう」


まだ、全力で抱きついてくる。


しばらくこのままでもいいかなと思っているうちに、幸子の方から手を離してきた。


「リビングでのんびりしようよ、あとお腹空いた」


「お昼食べようか、デザートにモンブランが待ってるよ」


「えっ、本当! さすが気がきくね、わたしの旦那様は」


 


 


「はぁー、美味しかった。モンブランは地球を救うよね」


モンブランを食べ終わって満足げな幸子。


モンブランは美味しいが、なぜそんな地球規模に。


確かに、我々夫婦は救われているが。


 


 


「今日の検査ね、結構エロかったよ」


ソファーに移動して、幸子が唐突にエロ発言をした。


「どういうこと?」


「こういうこと」


ソファーの上に寝て、おもむろにM字開脚を始めた。


 


検査については調べていたのでどんな姿勢かはなんとなく分かっていた。


そういえば絵を見ていなかった。


誠に不謹慎だが、エロく見えなくもない。


 


とはいえ、検査中はそんなことを思う余裕もなかったのではと思う。


痛かった、とも言っていたし。


 


きっと、この発言は、僕を和ませたかったのだろう、と判断した。


 


「うん、確かにエロい。でも、昼間からやめよっか」


ソファーに移動して、端に腰を下ろした。


「笑ってくれると思ったのに、残念」


そう言いながら、幸子は体を起こした。


そして、僕の隣に座り腕を絡めてくる。


「ちなみに、本当はそんなに脚開かなかったよ。これくらいかな」


そう言って、足を少し開いた。


 


笑っておけばよかったかな。


少し後悔をした。


 


自分の方が不安を抱えているというのに、この期に及んで僕に気を遣うとは。


半分は甘えてるのだろうけど、よくできた奥さんだ。


幸子と結婚して本当に良かったと思う。


そう思いながら、幸子の頭を撫で始めた。


「えへへ」


嬉しそうだった。


 


 


ふと、別のことが気がかりになった。


「そういえば、先生は女医さん?」


「もちろん、聡以外の男性に見られるのはちょっとね」


安堵のため息をつく。


健康の方が心配だが、これはこれで安心をした。


「なーに? 嫉妬してるの? 可愛いなぁ」


幸子は嬉しそうに僕を見ながら言う。


そして、幸子が自分の膝をポンポンたたき始めた。


 


おや? 膝枕をすればいいのか?


と、きょとんとしていると、もう一度膝をポンポンたたき始めた。


「いらっしゃーい」


ああ、膝枕してあげるの方か。


素直に、幸子の膝の上に頭をのせる。


 


「甘えんぼさんでちゅねー」


赤ちゃん言葉で挑発しながらも、頭を撫でてくる。


次に膝枕をする時は仕返ししてやろう。


 


しばらくの間、僕の頭を撫でながら、幸子は上を向いていた。


 


 


ふと幸子の手が止まる。


頭の上の手が、少し震えているようにも感じられる。


 


「私、大丈夫だよね?」


不安そうなまなざしで僕を見る。


 


「大丈夫だよ、僕が何とかするよ」


そう言って僕は手を強く握った。


病気だったら何とかできるわけではないのだろうけど、それでも妻のために何とかしたかった。


 


 


 


検査結果の日までは、いつもの生活が続いていた。


仕事については早く帰れるように頑張った。


幸子との時間を増やしたかったからだ。


 


幸子に対しては、変に取り繕うようなことはしなかった。


いつもどおり、一緒の時間を楽しんだ。


僕が膝枕をしてあげて、赤ちゃん言葉で幸子を挑発したり、それに怒ったふりをして幸子が猫のようにひっかいてきたり……。


いつものようにじゃれ合った。


 


恐怖は振り払っておきたかった。


 


 


そして、検査結果の日になった。


朝から幸子は病院へ向かった。


今日こそは一緒に行こうかと思ったけど、家で待っていてほしいとのことだった。


 


 


正直なところ落ち着かない。


大体大丈夫だとは思うのだけど、万が一、があるかもしれない。


検査結果がどういうものなのかもリサーチ済み。


CIN1というものであればまず大丈夫。


CIN2と言われたら、予断を許さないが大体セーフ。


それよりも悪い結果だったら、会社を辞めて看病するくらいの覚悟をするつもりだ。


 


良い結果であることを心から願う。


 


落ち着かないから、部屋の掃除や洗濯でもしておこう。


念のため、モンブランも買っておこう。


できることはやっておこう。


 


 


 


「ただいまー」


幸子が帰ってきた。


「おかえりなさい」


玄関に迎えに行く。


おかえりなさいのハグをしようとしたら、幸子にキスをされた。


全力で抱きつく。


 


 


「半年くらい経過観察だって、がんはなくって大事にはなってないみたい」


「そっかぁ、よかった!!」


まずは一安心。


そして質問をする。


「先生がCINとか言ってなかった?」


「言ってたよ。CIなんとか1と言ってたよ。なにこれ?」


「CIN1かぁ。大丈夫そうだね、よかったぁ!!」


僕は安堵のため息をつく。


 


「えっと、すごく嬉しそうだけどどうしたの?」


「モンブラン食べながら解説するね」


「モンブラン! どこ??」


リビングに慌てて向かう幸子。


「とりあえず、手を洗ってらっしゃい」


「はーい」


 


 


テーブルの上にモンブランを置き話し始める。


「幸子がHPV陽性って言われた時から、ずっと子宮頸がんについて調べてたんだよ」


幸子に向かって話し始めた。


「そうなんだ、私何も調べてなかったよ。逆に知らない方がいいかなって思って。怖かったというのもあるのだけどね」


「うん。だから不安に思わせてもしょうがないと思って、秘密にしてました」


「気を遣ってくれたんだね、ありがとう。それでCIN1って何?」


「英語が何の略称かは分からないけど、まだがんではない軽度の状態のこと。しかも、一過性で終わる可能性が高い状態。言い換えると、自然治癒する可能性が高いということ」


「なるほどね。だから先生も定期的に検査してくれればいいよと言ってたのね。あまり詳しいこと話してくれなかったんだよね。でも、大事ではないから大丈夫、と言ってたから落ち着いたのだけど。もし他にも知ってるなら全部教えてくれる? 悪い状態も含めて」


「分かった、少し怖いけどいい?」


「お願い」


幸子のまなざしは真剣である。


今は良くても今後はどうなるかわからないと思ったのだろうか。


まだモンブランに手を付けていない。


 


「CIN2とCIN3という状態もあって、CIN2が中等度、CIN3が高度なの。CIN2の場合も経過観察で終わるけど、CIN3になると上皮内がん、と判断される可能性もある」


「がん……」


「うん、でもがんとは言うけれど、この状態だったらまだ手術で治る可能性が高いみたいだよ」


「なるほど」


「でも、このまま放っておくと、更に状態が悪化する。そうなると本格的ながんになって、治るかどうかというとなかなか難しい。だから、お医者様としては早めの検査を進めてるみたいだね。早めに見つけて対処すれば子宮頸がんはそんなに恐れる病気ではないみたいだよ」


「そっかぁ、じゃあ早めに検査をした私は大丈夫ということかな? 後、半年も間が空いて大丈夫なのかな?」


「先生に確認すればよかったかもね。でもちゃんと調べてます」


「パチパチパチ」


幸子が口と手で拍手をする。


 


「半年後に正常になっている可能性が高いみたいだし、仮に少し進行しても、手術で対応できるから問題はないんだって。半年おきの検査を2回続けて、連続で正常であれば、その次は2,3年に一度の定期検診でいいみたいだよ」


「そっかぁ、よかった! 怖かったぁ。まだ半年おきに受けないといけないけど、よかった。まだ死にたくなんかないからね!」


手つかずだったモンブランにフォークを差し始めた。


嬉しそうに口に運ぶ。


 


「まだ予断は許さないのだろうけど、きっと今まで通り楽しく過ごしていれば大丈夫だよ。過剰に心配する必要はないと思う」


「そうだね。ちょっと怖いという気持ちもあるけれど、愛しの旦那様の言うことだから信じるね」


「そうそう、あなたの旦那を信じなさい」


「うん」


そう言って、嬉しそうにモンブランの上にある栗に手を伸ばした。


 


僕のモンブランの栗に……。


「美味しいよね、モンブランの上の栗って」


ご機嫌な発言だ。


「そうですね、人のものだから、なおさら美味しいでしょうねぇ」


大好物だからいつもはじゃれ合いのようなケンカするのだけど、今日だけは許す。


 


 


モンブランを食べ終わった、幸子がソファーへ向かう。


そして、膝をポンポンとたたく。


膝枕するからおいで、ということなのだろう。


 


笑いながらソファーへ向かう。


「今は逆じゃないかな?」


と幸子の隣に座り、幸子の頭を優しく傾けて、僕の膝の上に乗せる。


満面の笑みを浮かべている。


僕は優しく髪を撫で始める。


 


 


しばらくそうしていると、幸子が口を開いた。


「もう1回検査が終わって大丈夫だったら、子供を作らない?」


唐突に聞いてきた。


 


今回は何もなかったけど、幸子が病気になるかもということを経験して思った。


いつ何が起こるのか分からない。


きっと、幸子も同じことを考えたのだろう。


 


だから、僕は今幸子にできることはしようと思った。


「うん、幸子が望むならそうしよう。幸子の望みは僕の望みだし。ちゃんと将来の計画練ろうか」


「うん!」


そう言って、幸子の髪を撫で続ける。


 


しばらくそのまま髪を撫で続けていたが、気がつけば一定のリズムで幸子は呼吸をしていた。


どうやら、僕の膝の上で眠ってしまったらしい。


 


「いろいろあったからね、お疲れ様」


小声で幸子にねぎらいの言葉をかける、髪は撫で続けたまま。


少しだけ寝顔が笑ったような気がした。


 


 


 


最初に検査の話を聞いた時は、幸子がこのままいなくなるのではないのか、なんて思ってしまった。


でも、病気について調べていたから、比較的落ち着いて対応することができた。


病気かもしれないと思う本人の方が、一番辛い思いをしているから、精神的に支えたかった。


そのためには、僕自身がしっかりする必要があった。


知識はそのために必要だった。


 


 


そして、僕にも病気の一端を担う可能性があることも分かった。


女性にしかかからない病気とは言え、男の僕も気を付けなければならない。


HPVをうつす可能性があるなんて、夢にも思わなかった。


僕自身は来週に診察をしてもらう予約を入れたので、もし問題があるのならしっかり治しておこう。


 


妻の体は僕の体ではもちろんないのだが、これからもずっと一緒に暮らしていくのだ。


だから、もう妻だけの体ではないのだと思う。


それは、もちろん逆のことも言える。


僕も妻のために健康には気を付けないといけない。


 


いつもの日常を、愛する妻の笑顔を、何があっても僕が守ろう、そう心の中で誓う。


 


 


妻の寝息は、一定のリズムを繰り返していた。


 


<<終わり>>


 


追記:このお話はフィクションですが、子宮頸がんやHPV、診断方法については実態に即しております(諸説あります)

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